宿泊施設・飲食店 プロデュース
和歌山県熊野に位置する民宿Tは、企業所有の保養所として運営しています。昨今、多くの企業が働き方や福利厚生のあり方を見直す中、大阪に本社を構える企業の依頼を受け、時代に合った保養所のあり方や位置付けを整理し、経営資源として活用することを目指しました。
具体的には、企業が競争力を高めるためのツールのひとつととらえるべく、長年続いていた、一部の社員と昔からの常連の方だけが利用する状態を脱却し、収益面で自走する魅力的な宿泊施設へリニューアル。また、社員の生産性を高めチームづくりを効果的に達成していくための社外拠点として活用する施策を企画しました。
Points
・稼働率20%の和歌山県の山間地域にある民宿のリニューアル
・周辺地域環境をいかした空間や体験の企画開発
・社員への周知および一般予約導線の整備
・リニューアル後の利用者数は前年度2倍に向上
民宿Tは、和歌山県熊野の歴史ある温泉街に位置する企業の保養所、および一般向けの民宿です。企業の社員は、福利厚生のひとつとしてほとんど費用負担なく利用することができるにも関わらず、設備の古さやアクセスの悪さ、また利用制度の周知不足から、長年、常連客のみに利用される程度にとどまり、また、一般客の利用も、電話に限られた予約経路などの要因から、稼働率は年間を通して約20%と低迷していました。
一方で、地域全体が施設の老朽化や高齢化が進み、賑わいは失われているものの、古来よりつづく信仰の巡礼の道に隣接した歴史ある温泉の佇まいは唯一無二であり、熊野古道が世界遺産に登録された2004年からはインバウンドを含めた旅行者が増加していました。そこで、訴求力のある施設に生まれ変わることで、収益を生み出す一事業としながら、社員の成長の機会を生み出す社外拠点としても活用することが期待できると考えました。

地元の人ほど何もないと思いがち
魅力を発見し、効果的に発信することで地域や施設は蘇る
まずは何よりも長年停滞していた稼働率を上げ、持続可能な経営状態にすること、その上でより多くの社員に利用されることをゴールに設定。運営者および利用者へのヒアリングや、現地を訪れて施設や運営状況の視察、また周辺の観光資源の調査などを行い、優先的に解決すべき課題を以下に設定しました。
①時代のニーズに合わせた機能やデザインへの施設改修
②滞在プラン・地域体験の企画開発
③魅力を伝える情報整理、予約導線の整備
④新しい時代の保養所としての活用するための企画
設備面や運営面でさまざまな課題は抱えながらも、歴史的・文化的価値のある熊野古道近くの立地や、良質な温泉、旬の素材や温泉を使った食事、少し足を伸ばせば体験できる豊かな自然アクティビティなど、多面的に高いポテンシャルを持つ当施設。時代のニーズに適した施設改修はもちろんのこと、施設の売りとなる情報を整備し効果的に発信することで、安定した高い稼働率につながると考えました。

設備面や運営面でさまざまな課題は抱えながらも、歴史的・文化的価値のある熊野古道近くの立地や、良質な温泉、旬の素材や温泉を使った食事、少し足を伸ばせば体験できる豊かな自然アクティビティなど、多面的に高いポテンシャルを持つ当施設。時代のニーズに適した施設改修はもちろんのこと、施設の売りとなる情報を整備し効果的に発信することで、安定した高い稼働率につながると考えました。

BEFORE

AFTER
地域に点在する観光資源を活かして、季節ごとの地域体験を開発しました。運営チームも高齢化し人手がかけられないため地域内の外部事業者と連携し、家族連れに向けた川遊びやBBQプラン、社員を含めた若者層を狙ったサウナやSUPプラン等を打ち出しました。

地域アクティビティを提供する事業者へのヒアリング

長らく更新していなかった自社ウェブサイトを一新。ほぼ電話予約のみだった予約受付に24時間オンライン予約システムを導入し、リーチと間口を広げました。また、ウェブサイトには宿泊施設の情報に加え、季節ごとのアクティビティが感じられるコンセプト動画を掲載するによって、宿泊を検討している人がより現地での体験が想起しやすいように意図しました。

地域アクティビティを提供する事業者へのヒアリング
企業が保有する保養所として、社員が優先的に利用できるよう、社員と一般客の予約可能タイミングを区別。宿泊プランや、地域アクティビティ周知のための社内向けPR動画、ポスター、チラシも制作をし企業の保養所としての価値向上も目指しました。
また、この社外拠点を活用するため、若い社員の離職率の低下や社員のロイヤリティーの向上などを狙った、ワーケーションプランや、チームビルディングのためのオフサイトミーティングの企画も実施しました。コロナの影響を受け、プログラム企画とモニター実施までにとどまりましたが、その後も社員の地域活動の拠点として継続的に利用されていることからも今後の活用の広がりを感じます。


リニューアル後2021年3~4月はまだコロナ渦中にもかかわらず利用者数は、コロナ前である2019年の2倍に向上しました。また、宿泊と地域体験の予約を一元化することで、アクティビティの利用者数が大幅に増加し地域経済の活性化にも貢献しました。
また、滞在全体に満足したと回答した利用者の割合 (5段階のうち4以上と回答した者) は98.3%、地域体験の満足した割合は71.5%となりました。

| 会社概要 | |
| 企画/デザイン | NINI |
| 建築改修 | 株式会社コンパス建築工房 |
| HP制作 | Tukiyomi Design |
| 映像制作 | 藤山誠 |